こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
昨年の年明けすぐに、2024年の不動産市況は転換期を迎える可能性が高いとお伝えしましたが、予想は外れ価格上昇の伸びは加速しました。
しかしすべてのエリアで上昇しているかというとそうではなく、都心部ではない郊外エリアは上昇していないため、不動産価格も二極化が鮮明になってきています。
実は今の不動産の上昇相場は、約12年前の2013年頃からスタートしています。
2019年あたりから、もうさすがにストップするだろうという雰囲気が出始めましたが、ふたを開けてみると、そこからさらに何年も上げ続けました。
とはいえ、首都圏新築マンション平均価格は、2021年に1990年頃のバブル期を超えたと話題を集めたように、既にいろんな数値が当時のバブル期を超えてきています。
バブルはいつか弾ける・・(これが本当にバブルなのであればですが)
ということで、2025年の不動産市況を予測してみたいと思います。
あくまで予測でしかないですが、不動産市況の今後の参考にしていただけたら幸いです。
こんな方に読んでほしい
- 2025年の不動産市況や今後の価格見通しが知りたい
- 2024年の不動産市況はどうだったのか知りたい
- 今後の不動産投資はどうすべきか知りたい
コンテンツ
2024年の不動産市況概要
公示地価は、2024年も全国全用途平均で上昇しました。
出典:国土交通省
都道府県別の地価変動率(住宅地)は以下の通りです。
出典:国土交通省
地図で見ると分かりやすいですが、首都圏、愛知、北海道、九州北部、宮城が大きく上昇しています。
以下、2024年不動産市況のポイントは6つです。
2024年不動産市況のポイント
- 相変わらず低調な戸建市況
- 二極化が際立つマンション市況
- 金利の上昇
- 建築費用の高騰が続く
- 収益物件の利回りは横ばい
以下、それぞれ解説します。
相変わらず低調な戸建市況
国土交通省が毎月公表している「不動産価格指数」(下図)において、2024年も戸建の価格は横ばいと低調だったことが分かります。
出典:国土交通省
2023年~2024年は、新築建売戸建ての売れ行きが極端に悪くなってきたことで、大手パワービルダー(建売業者)が相次いで大幅値下げを実施し、在庫を処分する動きが見られました。
それが不動産価格指数に反映されたのだと考えています。
マンションは、東京都心部の高額新築マンションが、指数を大きく押し上げている印象です。
二極化が際立つマンション市況
一方で、相変わらずマンションの値上がりには目を見張ります。
しかし実は、すべてのエリアやマンションが上昇しているわけではなく、二極化が進んでいるのが実態です。
一都三県の「全価格帯の成約価格」と「1億円以下の物件の成約価格」の推移をみれば、それが一目瞭然です。
出典:健美家
「全価格帯の成約価格」は、現在まで右肩上がりで上昇している一方で、「一億円以下の成約価格」推移は、徐々に伸びが鈍化していき、2024年には若干下がってきている状況となっています。
エリアに焦点を当てても、二極化が起きていることが分かります。
次のグラフは東京23区全体、都心3区(千代田区、港区、中央区)、外周区(大田区、世田谷区、杉並区、練馬区、板橋区、北区、足立区、葛飾区、江戸川区)の3つのエリアにおける価格指数の推移を表したものです。
ただし外周区だけは、最寄り駅から徒歩15分以上に存する物件の成約事例から作成した指数となっています。
出典:日本経済新聞
都心3区と外周区では、2013年以降その格差が拡大しています。
さらに直近では、外周区の価格のみ上昇の勢いが大きく減退しています。
これは外周区エリア購入者層の収入などの購買力に対して、中古マンション価格が物理的上限に近付いてきたことが考えられます。
さらには、三井不動産社長もこのように言っています。
日本経済新聞も2024年10月に、以下のような記事を出しています。
埼玉県や千葉県、神奈川県で中古マンションの価格下落が鮮明になっている。高騰が止まらない東京都心の物件とは対照的に周辺3県は前年同月比では10カ月連続でマイナスとなって、在庫物件も過去最多に積み上がった。都心の価格上昇に引っ張られて高額になりすぎたことに加えて、住宅ローン金利の上昇への警戒も重なって需要が鈍っている。
出典:日本経済新聞
そしてこの二極化の流れは今後一層強まりそうです。
首都圏全体の中古マンションの在庫はこの1年間で増え続けていますが、逆に都心部のマンション在庫は減少しているからです。
2024年上半期の首都圏中古マンション在庫件数(下表)では、首都圏の中でも東京の在庫件数だけが明らかに減少していることが見て取れます。
出典:住宅情報館
需要と供給のバランスにより、供給が減れば価格は上がることが予想されるわけです。
このように、現在の中古マンション価格高騰と言われる背景には、好立地の富裕層向け高価格帯物件が価格上昇を牽引する一方、平均年収が属する一億円以下のマーケットにおいては、頭打ちになっている現状があるということです。
金利の上昇
2024年は政策金利の0.25%利上げや、日銀による国債買い入れ縮小により、短期金利と長期金利がともに上昇したため、フラット35をはじめとする住宅ローン全般に影響が出ています。
不動産投資の融資では多くの場合、金利は短期プライムレートに連動するよう決められていますので、政策金利が利上げされる度に金利が上昇していくことになります。
短期プライムレートとは
銀行が業績の良い最優良企業に対して、資金を貸し出す際の最優遇金利のうち、1年未満の短期貸出金利のことです。一方で長期プライムレートは、1年以上の長期貸出金利のことです。
金利の上昇は不動産投資に大きな悪影響を及ぼしますが、2024年はその影響が目の当たりになった年と言えるでしょう。
そして今後は、不動産市況全体にも悪影響を及ぼしていくことが予想されます。
建築費用の高騰が続く
2024年の建築費は、RC(鉄筋コンクリート)の建築費は高騰が続いたものの、木造の建築費は上昇に一服の兆しが見えました。
【出典】建設物価調査会 総合研究所
また、建築価格の高騰による建設業の倒産が続いています。
建設業界は急激な資材価格の高騰や人手不足など、深刻な経営リスクが広がっているため、今後新築を建築する人は、建築会社の倒産リスクにも注意が必要です。
建築費の高騰は、不動産価格に大きな影響を及ぼしますが、価格に転嫁しても売れない状況が発生すると、さらに多くの建設会社の倒産が予想されます。
収益物件の利回りは横ばい
健美家の登録データによる収益物件の利回りは2024年も横ばいでした。
出典:健美家
今後は金利の上昇により、どのように推移していくか注視していきたいところです。
直近6年間の長期的な利回りや価格の推移は以下の通りです。
【区分マンション】
【アパート】
【一棟マンション】
出典:健美家
長期で見ると、価格は上がり、利回りは下がり続けていることがよく分かります。
とはいえ直近の利回りは下げ止まっており、不動産投資における利回りの限界に達していることが推測できます。
大手仲介会社各社のコメント
不動産流通研究所が行っている、2024年度上期の「不動産流通各社の仲介実績調査」で、主要不動産流通各社へのアンケートに対する結果は以下の通りです。
当期のリテール市場は、都心部での既存マンションの価格上昇が大きく影響。
パワーカップルや国内外富裕層、個人投資家などの強い需要に引っ張られる形で、東京23区の既存マンションを中心として市場は活発だった。
「特に都心6区に価格が下がる気配はない。当面はこのままじわじわと強含みで推移するだろう」という声が目立つ。
一方、郊外においては価格上昇に需要が追い付かず、成約に苦戦する動きも。
「4〜6月は取引単価も手数料も低下傾向だったが、成約件数は伸びていた。
しかし、7月以降は購入需要が弱まって成約件数が伸び悩んだ。
売り物件も、立地や条件によって販売の勢いが二極化している」(京王不動産(株))
ただ、直近では既存住宅や建売の価格調整によって成約件数に回復の兆しがあるという声が挙がっている。関西圏においても同様の傾向で、大阪都心部での新築マンション価格高騰が既存マンション価格を上昇させているものの、大阪市以外の地域では調整局面に突入したとの声が多い。
「都心部の実績がけん引した。ただ、都心の好調の一方で郊外では苦戦を強いられているエリアが多い」(近鉄不動産(株))
「首都圏以外では、夏以降に成約件数・平均価格ともに前年を下回る月も出てきた」(住友林業ホームサービス(株))ホールセール市場は、投資用不動産への需要は旺盛。
外資系投資ファンドが動きを控えたものの、成約価格10億円以下の小規模な取引が増加したという声が多い。
一方、建築費高騰によってマンション・戸建て用地は郊外部で取得を見送る動きが散見された。
「超優良立地でない限り、ディベロッパーが案件を選別する傾向が出てきた」(三菱地所リアルエステート(株))出典:R.E.port
不動産の市況については、仲介会社が最速かつ正確な情報を得る立場のため、これらのコメントはとても参考になります。
2025年不動産市況予測と今後の価格見通し
2025年は、400~1,000万円ほどの一般的な年収の方が購入するようなエリアや物件に関しては、さらに動きが鈍り、エリアや物件によっては価格の下落が感じられる年になるのではないかと考えています。
ただし好立地の富裕層向け物件に関しては、さらなる上昇によってバブルが膨らんでいくでしょう。
収益物件に関しては、実需物件(自分で住むための物件)よりも、高止まり傾向が続くと思います。
なぜなら収益物件の方が、海外資本も含めて下がったら買いたいと考えている人が多いからです(下表、日本不動産研究所による不動産投資家調査「今後1年間の不動産投資に対する考え方」ご参照)。
出典:日本不動産研究所「不動産投資家調査(2024年10月)」
しかしながら、金利の思わぬ上昇や極端な円高が進めば、投資態度も急変することが考えられます。
2025年の不動産投資に影響を与えそうな3つの要因を、以下それぞれ解説していきます。
2025年不動産投資の影響ポイント
- 金利上昇
- 建築価格
- 不動産市況サイクル
金利上昇
既述の通り金利上昇圧力が強まる中で、今年は金利が最も不動産市況に影響を与えそうです。
日本不動産研究所による不動産投資家調査でも、不動産投資市場の今後のリスク要因について、「金利の上昇」が最も多くの回答を得ました。
出典:日本不動産研究所「不動産投資家調査(2024年10月)」
現在の不動産市況は、長期にわたる超低金利がもたらしただけに、金利の上昇が価格下落のきっかけになる可能性が高いと言えます。
2025年は少なくとも2回は利上げがおこなわれると予想されています。
ただでさえインフレで家計が苦しむ中、金利の上昇は不動産市況に大きな悪影響をもたらしそうです。
建築価格
建築価格はどこの建築会社に聞いても、今後安くなることはなく、もっと高くなると言われています。
たしかに建材価格の高騰はもちろん、賃金上昇圧力もさらに強まる中で、下がる要因が見当たらない状況になってきました。
しかし木造の建築価格は落ち着いてきましたし、大きく円高が進むようなことがあれば、今後下がることがあるかもしれません。
もし円高にならなかった場合は、建築価格のさらなる高騰や人手不足を背景に、今後は建設業の倒産がさらに増え、不動産市況に悪い影響を及ぼすと考えられます。
不動産市況サイクル
私は不動産市況はすでにピークを迎えた、もしくはピークに限りなく近いと考えています。
日本不動産研究所による不動産投資家調査でも、現在の市況感をピークと答える会社が最も多くを占めています。
出典:日本不動産研究所「不動産投資家調査(2024年10月)」
市況はピークと考えている人が多いのに、新規投資は変わらず積極的な人が多いのは、矛盾しているようで興味深いですよね。
2025年の不動産投資戦略
最後に2025年の不動産投資戦略を解説していきます。
ポイントは以下の4点です。
2025年の不動産投資戦略
- 金利上昇対策
- 不動産市況悪化対策
- 購入条件を下げない
- 家賃を上げる
金利上昇対策
まずは金利についてです。
2025年は金利が上昇するのは間違いないので、できるだけ短い期間で借入することをおすすめします。
また、金利が今の金利より1.5%程度上がっても耐えられるような物件のみを買うようにした方が良さそうです。
固定金利を選んだり、日本政策金融公庫を利用するのも一つの手でしょう。
注意ポイント
今一度、自分が利用している金融機関の金利が、長期プライムレートと短期プライムレートどちらに連動する仕組みになっているか確認することをおすすめします。
長期プライムレートの場合、長期金利に連動するので、今後もさらなる金利上昇の影響を受ける可能性が高いでしょう。
不動産市況悪化対策
不動産市況悪化に対する対策としては、不動産価格が下がっても問題ない物件、つまり長期保有で賃貸を続けても、キャッシュフローを生み続けてくれる物件を購入することです。
今後は不動産価格の転換期を迎える可能性が高くなっています。
今までのように、価格が上昇することを見込んでの購入は控えた方が良いでしょう。
これらのことは常に考慮すべきことですが、2025年は特に意識して慎重に購入していきましょう!
ローリスク・ミドルリターン投資法については、下のブログ記事をご覧ください。
不動産投資初心者におすすめのローリスク・ミドルリターン投資法!
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購入条件を下げない
これだけ不動産価格が上昇すると、なかなか買える物件を見つけることが困難になります。
そのため多くの人が、購入条件を下げて無理して購入してしまう傾向があります。
購入を焦っている人や、早く事業拡大したいと考えている人は、特に注意して冷静に判断するようにしましょう。
家賃を上げる
現在のようなインフレ時には家賃も上がりますが、日本の場合、家賃が上がるのは最後と言われるほど、上げにくい環境が作られてしまっています。
とはいえ、下図の通り順調に募集賃料は上昇を続けており、まだ家賃の値上げをしていない考えていない人は、この機会に上げるようにしていきましょう。
出典:日本経済新聞
すでに賃貸中の場合は、よっぽど相場とかけ離れている家賃でない限り難しいと思いますので、退去後がおすすめです。
おわりに
いかがでしたか?
2025年の不動産市況は、二極化にさらなる拍車がかかる一年になると思います。
また金融政策や為替の影響を大きく受ける可能性がある一年になりそうですよね。
収益物件では、さらなる利回り低下は考えにくいものの、低利回りが継続しそうです。
さらに慎重に、リスクヘッジしながら購入していくべき年になりそうです。
株式相場で「休むも相場」という格言があるように、不動産市況が高騰している現在のような局面では、不動産投資を休むのもアリかもしれませんね。
ただし休むと言っても、物件探しをストップするのではなく、探しつつ無理に購入することはやめて、次のチャンスが来た時のための準備をしておくことが重要です。
また既にある程度物件を持っている人は、なおさら焦る必要はありません。
時間を味方にする不動産投資では、時間が経過するだけでも残債は減っていきますので、十分前進していることになります。
2025年は世界情勢を含め、大きく変動する可能性が高いので、常に経済ニュースや不動産市況の情報を確認していきましょう!
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