こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
家賃の滞納問題は、費用や労力がかかるうえ長期化することがあるため、多くの大家を悩ませている問題です。
家賃滞納が発生したからといって、すぐに強制退去を実行できないのが本当に厄介なんですよね。
さらにオーナー自身が解決に向けて督促や家賃回収をしようとすると、逆に違法行為をしてしまうリスクもあります。
自身の判断だけで行動せず、管理会社や法律の専門家(弁護士など)に相談し、意見を聞くことが必要です。
ただし弁護士に相談となると費用がかかりますので、どういった対処をすれば良いのか知っておくべきです。
そこで今回は、家賃滞納の問題が発生した場合、大家としてどうやって対処していけばよいのか解説します。
当記事は主に物件のオーナー向けに書かれていますが、賃借人にもぜひ読んでいただきたい内容です。
こんな人に読んでほしい
- 家賃滞納の対処方法が知りたい
- 家賃を滞納したらどうなるのか知りたい
- 家賃滞納のリスクヘッジ方法を知りたい
家賃滞納の理由
家賃滞納の原因には、単純に「お金がない」という経済的な問題だけではありません。
一般的に考えられる滞納理由として、以下の6つが挙げられます。
家賃滞納の理由6選
- 支払いが苦しい
- 単純に忘れていた
- 長期間の不在
- 急な病気や事故
- 支払う意思がない
- 孤独死などで亡くなっていた
よくある家賃の滞納理由は「支払い忘れ」と「支払いが苦しい」ことですが、支払いが苦しいケースでは問題がややこしくなることが多くなります。
支払う意思がないケースは最悪で、ほぼ裁判になるので解決まで費用も日数もかかってしまいます。
賃借人が亡くなってしまい滞納が発生した場合は、保証人や相続人へ請求することになります。
いずれにしても、家賃の支払いがない場合にはこちらからの督促が必要です。
家賃滞納から強制退去までの流れ
家賃の滞納が発生した時、オーナーはどう対応すればよいのでしょうか。
管理会社に管理を委託している場合は、基本的にすべてのステップを管理会社が代行してくれるはずです。
また、賃借人が家賃保証会社に加入している場合は、保証会社が賃借人に代わって賃貸人に家賃を支払い、賃借人からの家賃回収は保証会社が行ってくれます。
注意ポイント
保証会社により保証の内容が違うので、保証内容を確認しておくことが重要です。
自主管理かつ賃借人が保証会社に加入していない場合は、すべてのステップをオーナー自身で行うことになります。
以下、自分で対処しなければならない場合に、家賃滞納が発生してから最終的な手段である強制退去までの流れを時系列で解説します。
step
1電話などで督促
step
2連帯保証人に連絡
step
3郵送で督促
step
4調停
step
5任意の明け渡し請求
step
63つの法的手続き
それぞれ解説します。
電話などで督促
滞納が発生したら、すぐに電話などで催促するようにしましょう。
しっかりと管理していることを示すために、すぐに連絡を取ることがポイントです。
催促が遅れると、「滞納しても大丈夫」と勘違いされる可能性もありますので、迅速に動いていきましょう。
連絡をした時に支払う意思があり、一時的に支払いが苦しいだけの場合などは、猶予期間を与えたり分割にするなど、自分の判断で賃借人と話し合いのもと解決を図ります。
支払う意思がなかったり、支払える見込みがない場合は次のステップに移ります。
連帯保証人に連絡
入居者本人に督促をしても、すぐに支払いの目途が立たない場合は、連帯保証人に連絡します。
連帯保証人には賃借人と同じ責任を負う義務がありますので、賃借人が家賃を支払えない場合は連帯保証人が支払うことになります。
連帯保証人が支払ってくれることもあれば、連帯保証人から賃借人本人に家賃を支払うよう催促してもらい、結局賃借人が支払うこともあります。
賃借人が連帯保証人に迷惑がかかることを嫌がるケースもあるため、その後は家賃を滞納しなくなる可能性もあります。
郵送で督促する
保証人がいないもしくは、保証人も支払う意思がないケースでは、家賃滞納の連絡から2週間ほど過ぎても支払いがない場合に督促状を郵送します。
それでも支払いがない場合、家賃滞納から1ヵ月を目途に、今度は内容証明郵便で督促を行うようにしましょう。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、いついかなる内容の文書を、誰から誰宛てに差し出されたかということを、郵便局が証明してくれる郵便物です。
内容証明郵便で督促することによって、賃借人にいつ督促したのか証明を残すことができます。
これはその後の法的措置の可能性も踏まえての行動です。
しかし滞納常習者など、中には内容証明郵便を意図的に受け取らない人もいます。
そういった場合は「特定記録郵便」を内容証明と併用することで解決できます。
特定記録郵便を利用すれば、投函された時点で賃貸人の意思表示が賃借人に到達したと法律的にみなされるからです。
この督促をしても解決しない場合は、次の法的手続きに入ることになります。
調停
法定手続きの中で、最初に取るべき手段としておすすめなのは調停です。
調停とは
調停とは、生活の中で生じる身近なトラブルで困っている人のために、裁判所の調停機関が間に入って話し合いにより適正・妥当な解決を図る制度です。
簡易裁判所の窓口で、調停手続きの相談を行うことができます。
調停であれば、当事者の間に裁判所が選任した調停員を交えて客観的に話し合いができるので、問題解決の可能性は高まります。
訴訟のように厳格な手続きが不要なため、当事者間での解決の余地がある場合は、調停で解決するようにしましょう。
調停では、家賃滞納請求として「再び家賃滞納した場合に強制退去とする」といった取り決めを行います。
調停で解決合意した場合、公正証書という証明力のある文書によって取り決めを確定させます。
こういったあくまでも当事者同士での話し合いという法的手続きで解決が難しい場合は、次の法的手続きを行うことになります。
任意の明け渡し請求
これまでのステップを踏んでも家賃滞納が解決しない場合は、賃借人に退居してもらうしかありません。
しかし裁判での明け渡し訴訟では、半年近くの時間や費用がかかるうえ、その間の家賃収入もありません。
任意の明け渡し請求では、通常「滞納期間の家賃支払いは免除する」などの条件で入居者に退居してもらいます。
このように、できるだけ裁判以外の手段で解決し、早く次の入居者に借りてもらうのが得策なので、そのための費用負担は覚悟しておきましょう。
裁判所の法的手続き
任意の明け渡し請求でも滞納問題が解決しなかった場合には、法的手段を取らざるを得なくなります。
参考
家賃滞納から2ヵ月経過以降が、法的手段を取る時期の目安となります。
家賃滞納は基本的に、滞納者に問題があるので勝訴する可能性が高いですが、調停と異なり裁判費用が高額であったり、その後の家賃回収がスムーズにいかなかったりと、問題が完全に解決するまでには時間がかかることも多いです。
滞納者に支払い能力があることが分かっている場合には、支払督促や少額訴訟という手段がある一方で、滞納者に支払い能力がない場合や強制退去を求める場合は、明け渡し訴訟が有効です。
以下3つの法的手段を、手続きの労力が少ない順に解説します。
①支払督促
支払督促とは、裁判所から賃借人に対して送付される督促状です。
裁判を起こさずに書面での督促となるため、費用が抑えられるというメリットがあります。
また裁判所から書面で督促することで、賃借人に対して心理的にプレッシャーを与えることができます。
支払督促では、最終的に財産の差し押さえまでできる可能性がありますが、そもそも支払い能力がないケースでは、財産の差し押さえをしても効果はありません。
メリット | デメリット |
裁判所に行く必要がない | 借主が異議を唱えると通常の訴訟になる |
書類審査で裁判所が督促手続きをしてくれる | 借主が失踪してる場合には利用できない |
②少額訴訟
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを請求する訴訟です。
審理は原則1回で、すぐに判決が言い渡されるというメリットがあります。
こちらも支払督促と同様に差し押さえをできる可能性がありますが、支払い能力がない滞納者に対しては意味がありません。
メリット | デメリット |
通常の訴訟よりも手数料が安く時間がかからない | 相手方が行方不明の場合には通常訴訟になってしまう |
通常の訴訟よりも簡単に訴訟を起こせる | 判決に異議を申し立てられると通常訴訟になってしまう |
③明け渡し訴訟
滞納者に支払い能力がないケースや家賃を支払う気がないケースでは、強制退去を求める手続きである明け渡し訴訟で強制退去してもらいます。
支払督促や少額訴訟とは違い退居まで求めることができますが、その分最も労力がかかる方法です。
半年ほどの期間と50万円ほどの訴訟費用がかかります。
強制退去までの期間に家賃収入を得ることもできないため、とても負担の大きい手段です。
強制退去させられる条件の目安は下記の通りです。
- 長期間の滞納(最低でも3ヵ月以上)
- 賃借人に支払う意思がない
- 賃貸人と賃借人の信頼関係が壊れている
滞納期間が1~2ヵ月程度の場合や、賃借人に支払いの意思がある場合などは、強制退去は難しくなります。
明け渡し請求訴訟は一般的な裁判手続きが行われることから、訴える側の賃貸人にもある程度の法的知識が要求されます。
そのため明け渡し訴訟は、弁護士などの専門家を利用した方が良いでしょう。
あくまでも最終手段ですので、できるだけ他の手段で解決を目指すことをおすすめします。
そして明け渡し訴訟で無事退去してもらえたら解決ですが、退去してもらえなかった場合は強制執行へと移行します。
強制執行をするためには、裁判所へ強制執行の申立てを行います。
この際には所定の書類と予納金が必要になります。
予納金とは、裁判所に納める費用で、強制執行の執行費用のようなものです。
参考
例えば東京地裁の場合は「建物明渡しの強制執行」で予納金が65,000円(1物件・相手方1人の場合)、「金銭支払いの強制執行」で8,000円程度かかります。
また、建物明け渡しの強制執行の場合には、次のような費用が発生します。
解錠費用:2万円
運搬費用:1ルームの場合で約10万円/一般家庭の場合で約30万~50万円
廃棄処分費用:約2~4万円
予納金はこれらの費用に充てられますが、足りない分は申立人が別途支払うことになります。
家賃滞納発生時にやってはいけないこと
家賃滞納の問題では、オーナー自身が解決しようと思って行動したことが裏目に出て、余計なトラブルが発生してしまうリスクもあります。
そこで、家賃滞納発生時にオーナーがやってはいけない行動を解説します。
家賃滞納時のNG行動
- 早朝や深夜(概ね20時~翌7時)の督促行為
- 同日内に何度も電話や訪問をする
- 家賃滞納の事実を周囲の人に知らせる行為
- 連帯保証人以外に督促をする
- 無断で入室する・物を撤去する
- 勝手に鍵を交換する
それぞれ解説します。
早朝や深夜(概ね20時~翌7時)の督促行為
オーナーが滞納者に督促すること自体は正当な行為ですが、違法行為にならないよう督促の仕方には注意が必要です。
よくあるのが早朝や深夜に督促してしまう行為ですが、早朝や深夜に督促が行われたことに対して、慰謝料請求が認められた判例もあります。
同日内に何度も電話や訪問をする
前述のケースと同様、必要以上の電話や訪問は、脅迫じみた違法行為とみなされる可能性があります。
1日に何度も電話したり、許可なく何度も訪問したりしてはいけません。
家賃滞納の事実を周囲の人に知らせる行為
周囲の第三者に滞納が分かってしまうような形で督促をする行為も、違法行為とみなされます。
例えば滞納者の学校や勤務先に連絡をして督促する行為や、玄関やポストに督促の張り紙をする行為などはこれにあたります。
連帯保証人以外に督促をする
たとえ滞納者の親族などであっても、連帯保証人以外の人に督促をしてはいけません。
督促は滞納者本人および連帯保証人にとどめましょう。
無断で入室する・物を撤去する
賃料を滞納している場合でも、無断で入室してしまうと住居侵入罪に問われる可能性があります。
また入室できたとしても、部屋内にある物を勝手に捨てたり持ち出したりしてはいけません。
勝手に鍵を交換する
滞納者の部屋の鍵を勝手に取り換える行為も違法行為となります。
家賃滞納が起こった際に、賃貸人が鍵を交換できるという特約を契約書に記載していても、判例では貸主と管理会社に損害賠償が命じられていますので絶対にやめましょう。
家賃滞納を未然に防ぐ方法
一度悪質な家賃滞納が発生してしまうと、解決には多大な労力や時間がかかるため、滞納を未然に防ぐことが最も大切です。
未然に防ぐ方法として最もおすすめなのは、保証会社を付ける方法です。
家賃保証会社は賃借人が家賃を支払わない場合、代わりに家賃を支払ってくれて入居者からの家賃回収まで行ってくれます。
保証料を払うのも賃借人のため、オーナーにとってはとてもメリットが大きいです。
また訴訟を起こすような場合も、保証会社の費用で弁護士を選任してもらえるため、家賃滞納におけるリスク回避として最適な方法であると言えます。
このように保証会社を利用すれば、それだけで十分な対策になるのですが、ここでは何かしらの理由で保証会社を利用しない場合の事前対策を解説します。
家賃滞納を未然に防ぐ方法
- 管理会社もしくは仲介会社に入居審査をしっかりしてもらう
- 連帯保証人をつける
- 家賃を自動引き落としやカード支払いにする
それぞれ解説します。
管理会社もしくは仲介会社に入居審査をしっかりしてもらう
家賃滞納を未然に防ぐためには、入居者の審査が重要になります。
そもそも支払い能力の低い人が入居してしまうと、家賃滞納のリスクは必然的に高まってしまいますからね。
入居審査の際に重要なポイントを挙げますので、参考にしてみてください。
入居審査のポイント
- 月の収入は家賃の1/4以上あるか
- 勤続年数や今後の収入も問題ないか
- 前回の入居期間はどのくらいか
前回の入居期間が短い場合は、滞納トラブルが発生している可能性も考えられます。
入居審査を厳しくし過ぎると、入居付けが苦しくなるという事情もありますが、家賃滞納はそれ以上に大きな問題となりますので、未然に防ぐための入居審査は妥協しないようにしましょう。
連帯保証人をつける
賃借人が家賃を支払えなくなるリスクに備え、連帯保証人を付けることも必須の予防策です。
連帯保証人は賃借人本人と同じ責任を負うため、本人が支払えない場合は連帯保証人に家賃を請求することができます。
連帯保証人は親族が理想的ですが、安定した収入があり連絡が取りやすい人にしましょう。
家賃を自動引き落としやカード支払いにする
家賃滞納は単純に入金を忘れていたというケースも少なくありません。
お金がなくて滞納しているわけではないため、大きな問題にはなりにくいものの、滞納が生じる度に督促するのは大変です。
このような家賃滞納を防ぐには、家賃支払いを自動引き落としにしたりクレジットカード支払いにすることが有効です。
ちなみに自動引き落としでは、口座残高が不足している場合は引き落としができませんが、カード支払いであればその心配はありませんのでよりおすすめです。
おわりに
いかがでしたか?
家賃滞納は賃貸経営において最も厄介で面倒ですので、未然に防ぐことや速やかに解決することが重要です。
裁判による強制退去の事態にまでなると、オーナーにとっても精神的・時間的・金銭的負担がかかるため、可能な限り法的手続きに至らないような解決方法を目指しましょう。
とにかく面倒なことは避けたいという方は、入居審査で保証会社を付けることと、滞納問題が発生したときは弁護士に依頼することです。
今回はそうではない人に向けて解説してきましたが、お役に立てれば幸いです。
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