こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
不動産投資家にとって最も大きな仕事は、良い物件を探すことと、銀行から融資を受けることです。
不動産投資は金額が大きくなる分、銀行からの融資が必須になります。
しかし初めて融資を受ける人にとっては、「どうやって金融機関を探せばよいのかわからない」「融資を受けるための方法がわからない」「銀行マンとの付き合い方がわからない」といった疑問が多くあるかと思います。
既に融資を受けたことがある人でも、「最近融資が厳しくなって困っている」という声をよく聞きます。
そこで今回は、不動産投資初心者でも融資を受けられるようになるための戦略を解説していきます。
既に融資を受けている方も、銀行との正しい付き合い方が学べると思います。
ぜひ最後までご覧いただき、有利な条件で融資してもらえるようになりましょう!
こんな方におすすめ
- 不動産投資の銀行融資で困っている
- 銀行マンとの付き合い方が知りたい
- 不動産投資における融資の基礎知識を勉強したい
不動産投資における融資の基礎知識
まずは不動産投資の融資について、基礎知識を解説していきます。
銀行は何を審査しているのか?
銀行は融資審査で、以下の項目を特に重要視しています。
- 事業・収支計画書の正確性
- 購入金額の妥当性
- 不動産賃貸業の収入や資産
(※参考 投資用不動産向け融資に関わるアンケート調査 金融庁)
融資の承認を得るためには、この3点を抑えることが重要ですが、この他にも法人個人の属性なども当然見られます。
よく言われる「積算評価」や「収益還元」というのは、「購入金額の妥当性」の部分に該当します。
こうやって見ると、「事業計画が正確で理にかなっている」「資産性が高く収益性も高い」案件であれば承認はおりやすくなるということがわかります。
事業用融資と居住用融資の違い
事業用融資は居住用融資(住宅ローン)と異なり、融資するための条件が厳しく、金利も高くなります。
事業用融資はあくまでも事業目的であるのに対して、居住用融資は自己居住が目的のため、投資用融資の方が貸し倒れリスクが高いからです。
自己居住用であれば、融資返済が賃貸で家賃を払うのと同じと考えると、負担は大きくはなりません。
また「払えなくなる=住む場所がなくなる」ですから、必死に払おうともしますよね。
住宅ローンの場合は、借主の年収や勤続年数などの属性のみによって審査を行う一方、不動産投資の融資は属性だけでなく、物件の担保評価や事業としての採算性などもチェックします。
物件の利回りや物件自体の価値も審査の基準となることが、不動産投資における融資の特徴です。
このように、そもそも事業用融資と居住用融資で、銀行の考え方がまったく違うことは覚えておいてください。
不動産投資の事業用融資の金利
事業用融資の金利は約0.5%~5%と幅広くなっており、属性や物件評価によって決まります。
居住用融資の場合、変動金利は1%を切るのが現状ですので、金利はまったく異なります。
金利は低いほど有利になりますので、不動産投資家は金利を低く借りれるよう努力するわけです。
銀行が融資したくなる人と融資したくない人の属性
銀行が融資したくなる人と融資したくない人の属性は以下の通りです。
融資したくなる人 | 融資したくない人 | |
会社(サラリーマンの場合) | 上場企業もしくは公務員 | 中小企業 |
法人(オーナーの場合) | 3期以上黒字 | 3期中に赤字あり |
勤務年数 | 3年以上 | 3年以下 |
給与 | 固定給で800万円以上 | 固定給で500万円以下、変動給 |
他の借り入れ | なし | あり |
金融資産 | 500万円以上 | 300万円以下 |
信用情報 | 過去滞納なし | 過去滞納あり |
健康状態 | 良好 | 悪い |
年齢 | 社会経験豊富で若い | より高齢 |
表を見たらわかる通り、とにかく年収と金融資産を増やすことが重要です。
属性評価は、会社の業種や雇用形態によっても大きく変わります。
既存の借り入れに関しては、特にリボ払いや消費者金融からの借り入れが嫌われます。
借り入れがある場合は、返済しておくようにしましょう。
事業用融資の審査必要書類
不動産投資の融資審査に必要な書類は、以下の通りです(不動産売買契約前)。
- 物件概要書
- 住宅地図
- レントロール(アパートなどの複数戸の場合)
- 登記簿謄本(要約書可)
- 公図
- 建築確認済証(あれば)
- 固定資産税評価額がわかる書類(納税通知書や公課証明書など)
以上の書類があれば、基本的には審査をすることができます。
初めての金融機関の場合は、決算書や確定申告書、身分証や履歴書、資産表などが必要になります。
また売買契約後は、売買契約書および重要事項説明書、賃貸契約書などが必要になります。
必要書類に関しては銀行が指示してくれますので、無理に覚える必要はありませんが、覚えておくと審査がスムーズに進むでしょう。
不動産投資の融資が利用できる金融機関
不動産投資の融資審査基準は、以下の各分類の金融機関によって違います。
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫・信用組合
- 日本政策金融公庫
各金融機関それぞれの特徴や比較については、下のブログ記事をご覧ください。
不動産投資ローンのおすすめ金融機関|地方銀行・信用金庫・信用組合・日本政策金融公庫の比較
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不動産投資の融資戦略10選
不動産投資の融資戦略10選は、以下の通りです。
不動産投資の融資戦略10選
- 自己紹介用プレゼン資料を作成
- 人に紹介してもらう
- 事業・収支計画書に力を入れる
- 複数の金融機関に依頼する
- 投資ではなく事業と心得る
- 営業マンの成績に貢献する
- 報連相を徹底する
- フルローンにしたい時
- 初めての銀行に渡す資料
- 銀行が好む決算書を作る
それぞれ解説していきます。
自己紹介用プレゼン資料を作成
不動産投資初心者の方は、融資相談をする前に、自己紹介用のプレゼンテーション資料を作成することをおすすめします。
なぜなら、初めて銀行に行って少し話しただけでは、銀行はあなたがどういった人間か分かるはずもありませんし、覚えてもらうこともできないからです。
あなたがどんな経歴で、どんな属性で、どんな人物なのかを資料でも伝えるようにしましょう。
自己紹介用のプレゼン資料を作ってきたということ自体も、計画的かつ積極的な人として、好意的に受け止めてもらえる可能性もあります。
プレゼン資料を作成するにあたり、盛り込むべき項目は以下の通りです。
自己紹介資料に盛り込むべき項目
- 自分の経歴
- 自分の強み
- 自分の家族構成
- 収入や資産の状況
- 不動産賃貸業をする目的や動機
- どういった不動産を購入していきたいか
- 不動産賃貸業で成功するための経営戦略
自分の家族構成や資産状況については、相続時のことを考えて、親や兄弟のことも記載があると銀行側は助かります(例えば親が資産家の一人っ子であれば、それだけで銀行の属性評価は上がります)。
特に最初は、過去の事業実績や融資実績がないので、人間性と属性、事業に対する熱意と経営戦略などが、融資の可否に大きな影響を与える可能性があります。
銀行が知りたいと思う内容を資料に盛り込み、計画性や積極性をアピールしましょう。
人に紹介してもらう
銀行は初めての人に対しては、冷たい対応をしてくることもあるので、できるだけ社会的地位の高い人からの紹介で開拓していくことをおすすめします。
実際に私も最初の物件で融資に苦しみましたが、最終的には知り合いの社長さんに紹介してもらって、やっと納得のいく条件を出してもらうことができました。
特に法人ではなく個人の場合は、相手にしてくれない可能性が高いので、紹介で行くようにしましょう。
事業・収支計画書に力を入れる
銀行が審査をする際に重要視する書類が、事業計画書もしくは収支計画書です。
事業計画書や収支計画書は、信憑性が高く正確な数字を作成してください。
仲介会社などが作成したものをそのまま渡す人がいますが、仲介会社が作った資料は不足が多く正確ではありません。
注意ポイント
- 購入価格の妥当性(成約事例など添付)
- 家賃の妥当性(成約事例など添付)
- 修繕費の根拠
- 正確な諸経費とランニングコスト
- 適度な空室率と家賃下落率の算入
上記を参考に、数字に関しては根拠をもって、具体的に説明できるよう準備しておきましょう。
しっかりとした事業計画書や収支計画書があれば、担当者も審査に力を入れてくれるようになります。
また、「しっかりしている人」という印象を与えることができます。
初めて事業計画書などを作成する方で、作成の仕方がわからない方は「不動産投資 事業計画書」などでググれば出てきますので、参考にしてください。
複数の金融機関に依頼する
金融機関によって融資基準や力の入れ具合は異なるので、不動産投資初心者は複数の金融機関に融資を依頼してみることも重要です。
ある銀行では断られても、他の銀行では審査がおりたというケースも珍しくありませんので、一度断られたからといって諦めずに、複数の金融機関に相談してみましょう。
諦めずに数をこなせば、取り合ってくれる銀行もあるもので、それがよく言われる「ご縁」です。
私が今最もお世話になっている銀行は、実は紹介で行って最初に融資してくれた銀行ではなく、まさにご縁があった銀行です。
金融機関の開拓は足で稼ぎましょう。
投資ではなく事業と心得る
銀行では、投資という言葉は使ってはいけません。
不動産投資は不動産賃貸業という立派な事業であり、銀行は投資に対して融資をしているわけではなく、事業に対して融資をしているからです。
「株を買いたいから融資してくれ」と言っても貸してくれないですよね。
また経営者として、事業を経営しているという意識が低いとみなされる可能性もあります。
「不動産投資」は「不動産賃貸業」という言葉に置き換え、経営者としての自覚を持って打診するようにしましょう。
営業マンの成績に貢献する
銀行と取引が始まると、営業マンから定期預金や各種商品の購入をお願いされることがあります。
そういった時は、よほど不利なものでない限りは協力してあげるようにしましょう。
助け合いはお互い様ですから、そのタイミングでこちらも金利引き下げの交渉に出るのもアリです。
銀行としては、たくさん取引があるお客様を優遇したくなるものです。
例えば、定期預金や外貨預金、投資信託やクレジットカードなどで貢献してあげると、とても喜んでくれますし、融資の際は頑張ってくれるはずです。
ただし、こちらから提案する必要はありませんので、あくまでお願いされたときに協力するようにしましょう。
報連相を徹底する
銀行に正しく報告・連絡・相談ができている人は、とても少ないと思います。
物件購入前の打診段階での報連相はもちろんですが、購入後も物件に大きな変化が発生した際には、銀行に報告すべきです。
銀行はちゃんと家賃が入ってきているか、預金が増えているか定期的に確認しています。
聞かれる前にこちらから報告することで、信頼関係はより構築されていきます。
何か銀行に伝えるべきことが発生した時には、こちらから積極的に伝えるようにしましょう。
フルローンにしたい時
最近は2割3割と大きな頭金を求められることが多くなってきました。
不動産投資は、いかに現金を使わずに資産を増やしていけるかが重要ですので、フルローンで融資してもらうに越したことはありません。
頭金を求められた時は、同額の定期預金をするかわりにフルローンにしてもらえないか、お願いしてみるのもいいかもしれません。
銀行からすると、定期預金と貸出残高と金利収入が増えて一石三鳥ですから、決して悪い提案ではありません。
またその定期預金は、今後も融資審査をする時の見せ金になります。
フルローンにしたい時は、ぜひこの方法を使ってみてください。
初めての銀行に渡す資料
既に不動産投資をしている人が銀行の新規開拓をする際には、以下の資料をきっちり揃えて訪問するようにしましょう。
新規開拓時の必要資料
- 決算書3期分
- 個人確定申告書3期分
- 既に保有している物件の謄本
- 既に保有している物件の固定資産税評価額がわかる資料(納税通知書など)
- 既に保有している物件の融資返済表
- 既に保有している物件の一覧表(購入価格、家賃、毎月CF、予想時価記載のもの)
- 既に保有している物件のレントロール(アパートの場合で手元にあれば)
- 金融資産一覧(通帳などのエビデンスがあるものはすべて持っていく)
1~5は金融機関から求められると思いますが、6~8は提出することによって、資産状況や不動産の含み益状況、優良物件の購入実績がアピールできます。
また賃貸経営の現状を把握してもらいやすくなります。
私たち不動産投資家は、銀行の担当営業マンが承認権限者にプレゼンしやすくなるような資料を準備してあげることが、最も重要な仕事になります。
むしろ私たちができることは、それくらいしかありません。
そのため、こういった資料は面倒がらずに必ず提供するようにしましょう!
銀行が好む決算書を作る
金融機関は決算書をベースに財務分析を行い、融資先を区分分けしています。
この区分には「正常」「要注意」「破綻懸念」「実質破綻」「破綻」などがあると言われていますが、融資を受け続けるためには、この区分を常に「正常」にしておく必要があります。
この区分する要素として、「売上高経常利益率」「総資本経常利益率」「当期純利益の推移」「経常利益増加率」「自己資本率」「債務償還年数」「償却前営業利益」などがあります。
しかし融資額が増えていくと、どうしても自己資本比率が低下していってしまいます。
だから銀行は自己資本比率や債務償還年数を改善するために、一度物件を買うと、次の融資までの期間を空けたがるのです。
また税理士の先生に、四半期毎に「試算表」を作成してもらい、新たな物件の融資審査を依頼する時に、直近分の試算表を提出することも大切な作業です。
試算表とは
試算表とは、主に貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を、毎月や四半期ごとに締めることで、その時点での財務状況を示す資料です。
融資元の銀行からすると、一年に一度の決算書だけでは経営状況の把握は不十分です。
少なくとも四半期に一度は試算表を作って報告をすることが、信頼度の高い企業として評価を受けることに繋がるわけですね。
おわりに
いかがでしたか?
融資の攻略は不動産投資の肝になるので、銀行とは上手に付き合っていく必要があります。
これまで融資を受けるための戦略をお伝えしましたが、最も大事なのは事業に対する熱意です。
何のためにその事業をやり、何のために融資が必要なのか、という原点を忘れてはいけません。
銀行は、これから新たな事業にチャレンジする人を応援するために融資を行っているわけですから、私たちもその原則を忘れないことです。
熱意が伝われば、本来は承認がおりないような案件でも、融資してくれるかもしれません。
銀行の開拓は、決して諦めることなく粘り強く行動していきましょう!
融資に関しては興味をお持ちの方が多いので、下の別記事で気になる記事があればあわせてご覧ください。
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