こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
不動産投資における返済比率は、40%以下が理想、最低でも50%以下、60%超は危険であるとよく耳にしませんか?
Twitterでもよく目にしますし、返済比率に関するどの記事を見ても、同じことが書いてあります。
ところが、実は返済比率は低ければ低いほど良いというものではありません。
返済比率という要素だけでいえば、当然低い方が収入に対しての返済割合が少ないということですから良いと言えます。
しかし返済比率を下げることは、他の賃貸経営に関わる重要な要素も大きな影響を受けるため、返済比率だけにこだわって購入判断をすることは大変危険です。
そこで、返済比率の正しい考え方について解説していきます。
ちなみに私は購入する際、返済比率は一切気にしませんが、どうしても気になる人のために、返済比率の下げ方も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
こんな方に読んでほしい
- 返済比率を購入判断で重要視している人
- 返済比率について正しい考え方を知りたい人
コンテンツ
不動産投資における返済比率とは
まずは返済比率とは何かについて触れておきます。
不動産投資における返済比率とは、投資物件から得られる家賃年収に対して、借り入れの年間返済額の割合のことです。
返済比率
返済比率=返済額÷収入×100
例:年間返済額40万円÷家賃年収100万円×100(%)=40%
当然返済比率が低いほど、リスクが低く安定した賃貸経営ができているということになります。
しかし返済比率は、賃貸経営中に変化するということを知っておく必要があります。
物件購入時に計算した返済比率は、あくまでその時点での返済比率です。
家賃の変動などによって「収入」の部分が変わったり、金利の変動によって「返済額」が変われば、それに伴い返済比率も変動することになります。
そしてよく推奨されるのが、この返済比率が40%以下の物件を購入しましょうということです。
しかし賃貸経営は、返済比率だけで経営の良し悪しが決まるわけではないことを知っておく必要があります。
私がなぜ返済比率を参考にしないのか、次の項目で解説していきます。
不動産投資における返済比率の勘違い!
40パーセント以下で安全はウソ!?
私が返済比率を参考にしない理由は、一言で言うと「いくらでも都合の良いように返済比率を変えることができる」からです。
返済比率を変える方法は次の通りです。
ポイント
- 返済期間を長くする
- 頭金を多く入れる
しかしこれらの方法は、大きなデメリットを伴います。
返済期間を長くして返済比率を下げるデメリット
返済期間を長くすると、その分修繕費が多くなったり、家賃収入が少なくなったり、デッドクロスを引き起こすなど、様々なリスクを増大させることになります。
デッドクロスとは
デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回ってしまう状態のことを言います。
デッドクロスについては、下のブログ記事をご覧ください。
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頭金を多く入れて返済比率を下げるデメリット
頭金を大きくすると、その分手持ちの現金が減ってしまいます。
不動産賃貸経営を拡大していきたいと考える人にとっては、現金はなるだけ使わずに借入により購入した方が良いため、大きなデメリットになります。
では、これらのコントロールによって、実際にどのくらい返済比率を下げることができるのかシミュレーションしてみましょう。
返済比率のシミュレーション
ここでは表面利回り10%で5,000万円の物件を例に「返済期間を長くした場合」と「頭金を多くした場合」で、それぞれ比較します。
【返済期間15年と20年の場合の比較】
返済期間15年 | 返済期間20年 | |
自己資金 | 500万円 | 500万円 |
借入金額 | 4,500万円 | 4,500万円 |
返済期間 | 15年 | 20年 |
返済金利 | 1.5% | 1.5% |
家賃年収 | 500万円 | 500万円 |
返済年額 | 約335万円 | 約260万円 |
返済比率 | 67% | 54% |
【自己資金500万円と1,000万円の場合の比較】
自己資金500万円 | 自己資金1,000万円 | |
自己資金 | 500万円 | 1,000万円 |
借入金額 | 4,500万円 | 4,000万円 |
返済期間 | 20年 | 20年 |
返済金利 | 1.5% | 1.5% |
家賃年収 | 500万円 | 500万円 |
返済年額 | 約260万円 | 約231万円 |
返済比率 | 52% | 46% |
このように、都合よくコントロールできる返済比率を、購入の判断基準にすることは意味のないことです。
購入判断の指標としては、ROIやCCRの方が重要です。
ROIやCCR、レバレッジについては、下のブログ記事をご覧ください。
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適した返済比率は物件種別や属性や考え方によって変わる
区分マンションと戸建で比較した時に、区分マンションは管理費や修繕積立金がかかり手残りが少ないため、返済比率は戸建よりも低い方が望ましいと言えます。
このように物件種別によっても、適切な返済比率は変えるべきです。
区分マンションよりも戸建の方が、より高い返済比率でも良いはずです。
これらの区別もせずに返済比率を参考にすべきではありません。
また、それぞれの属性によっても適した返済比率は変わります。
例えば本業が他にあり、そちらで大きな稼ぎがある場合は、返済比率が高く手残りが少なくても問題ないはずです。
私も不動産投資を副業でやっていたサラリーマン時代は、本業からの十分な稼ぎがあったため、手残りを多くするよりも、返済期間を短くすることを重視しました。
このことは、長期的な資産形成にも影響します。
例えば、サラリーマンを続けるつもりであれば、返済比率を低くして手残りを多くするよりも、返済比率が高くなっても定年退職する頃に合わせて完済できるようにしていく方が望ましいかもしれません。
このように、一概に返済比率が40%以下だから良いなどとは言えず、物件種別や属性、それぞれの考え方に合った方法で、購入判断をすべきなのです。
返済比率を下げる方法
返済比率のみの要素でいえば、低いに越したことはありません。
一般的には、返済比率が40~50%以下であれば安全度は高いと言われています。
そこで返済比率を下げる方法として、以下の4つをそれぞれ解説していきます。
ポイント
- 自己資金を大きくする
- 返済期間を長くする
- 金利を下げる
- 繰り上げ返済をする
自己資金を大きくする
頭金として自己資金を大きくし、融資額を抑えれば必然と返済比率は下がります。
単純に毎月の返済額が減るだけでなく、金利負担も小さくなるため、二重の効果が得られます。
しかし不動産投資においては、できるだけ現金を使わないことが鉄則です。
特にレバレッジを利用して早く拡大したい人にとっては、なるべく現金は使わないようにしたいところです。
また賃貸経営中は、突発的な修繕が必要になったり、想定以上の空室で収益自体が減り、実質的な返済比率が上昇することも考えられます。
いざという時のためにも、手持ち資金は十分に確保しておくようにしましょう。
返済期間を長くする
融資期間を長くすることで、月々の返済額を抑え、返済比率を下げることもできます。
しかし安易に返済期間を長くするのは、様々なリスクが増大するため注意が必要です。
返済期間を長くすることによるリスクや、正しい融資期間の考え方については、下のブログ記事をご覧ください。
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また融資期間は、あくまで金融機関が決めるものなので、こちらが長期の融資期間を希望しても必ずそうなるとは限りません。
基本的に金融機関は、最初から可能な限り長い融資期間を提案してくれるはずですので、こちらからさらにお願いするのは控えた方がいいでしょう。
金利を下げる
金利は私たちが思っているよりも、月々の返済額に大きな影響を及ぼしています。
逆に金利を下げることができれば、返済比率は下がります。
そのためには、やはり日頃からの金融機関開拓の動きが重要になってきます。
できるだけ金利の低い金融機関で融資を受けれるよう、努力を続けましょう。
繰り上げ返済をする
借入返済期間中に、前倒しで借入を返済することを繰り上げ返済と言います。
自己資金を大きくするのと同じことにはなりますが、繰り上げ返済は、今後の経営が見通せた時や、経営が安定してから返済できることに違いがあります。
繰り上げ返済には、月々のローン返済額を減らす方法と、月々の返済額はそのままで返済期間を短くする方法があります。
月々の返済額を減らす方法であれば、返済比率を下げることができます。
その時の状況に適した方を選ぶようにしましょう。
おわりに
いかがでしたか?
不動産投資家の中で、よく購入判断の指標として使われている返済比率ですが、実はあまり参考にならないことがお分かりいただけましたでしょうか。
不動産投資の世界では、こういった誤った常識や認識が意外に多くあります。
こういった間違いは、本質や理屈を紐解くことで見抜くことができるようになります。
今まで返済比率を購入判断の重要な指標として利用していた人は、ぜひこの機会にもう一度見直してみてくださいね!
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