こんにちは、専業大家のMASA(@2103ou_masuke)です。
サブリース契約は、不動産投資における経営手法の1つです。
ところが、かぼちゃの馬車(スルガ銀行)事件やレオパレス集団訴訟などで、サブリースにネガティブなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
近年サブリース契約を巡るトラブルが増え、テレビなどでサブリースの問題点が取り上げられたことから、「サブリース=悪」というイメージが世間に浸透してしまいました。
そこで国⼟交通省は、サブリースに関するトラブルを防止するため、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年6月公布)」(サブリース新法)のうち、サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置(令和2年12月15日施行)について、具体的な規制の対象を事例等で明示した「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」を策定しました。
しかしこの新法は、特にオーナーに有利になったということはなく、しっかりとした取り決めや明示をしたという程度です。
個人的には、サブリース契約は今後も問題やトラブルを巻き起こすと感じています。
そこでサブリースについて正しい認識を広めるために、仕組みやデメリット、よくある問題トラブルをわかりやすく解説していきます。
かぼちゃの馬車問題では投資家たちが、運営会社であるスマートデイズやスルガ銀行に責任をなすりつけようとしましたが、実際のところ自己責任であり、自分で自分の身は守らなければなりません。
サブリースという経営手法が悪いわけではありませんので、しっかりとサブリースについて理解し、利用する際には正しい判断ができるようにしておきましょう。
こんな方におすすめ
- サブリース契約について学びたい
- サブリースの仕組みやデメリットを知りたい
- サブリースのよくある問題やトラブルを知りたい
コンテンツ
サブリース契約とは?
サブリース契約とは、サブリース業者がオーナーから賃貸物件を一括で借り上げし、それを入居者に転貸(又貸し)する管理形態です。
サブリース期間中は、業者が空き部屋の有無にかかわらず、オーナーに実際の賃料の約80~90%を保証します。
オーナーとしては空室になっても安定して賃料が入ってくるので、安心して賃貸経営ができるというわけです。
サブリース契約では、家賃の保証だけでなく、入居者募集や賃料回収など賃貸経営のほぼすべての仕事をサブリース業者がやってくれます。
とはいえ、オーナーだけでなくサブリース業者にとってもメリットはあります。
一般的な管理委託では、管理会社の報酬は家賃収入の5%ほどですが、サブリースでは家賃収入の10%ほどになります。
サブリース業者は空室を無くし、家賃を入居者からきっちり徴収すれば、その分収入に直結する仕組みです。
では次に、オーナーにとってのメリットを解説していきましょう。
サブリース契約の仕組みとメリット
サブリース契約を結ぶことで、オーナーは以下のようなメリットを受けられます。
サブリース契約のメリット
- 管理をすべて任せられる
- 安定収入を得られる(空室・滞納リスクを回避できる)
- 広告費や原状回復費の負担軽減
それぞれ解説します。
管理をすべて任せられる
賃貸経営では、入居者募集・集金・契約更新・退去・清掃・建物メンテナンスなど、様々な管理業務があります。
サブリース契約は、サブリース業者がそうした管理業務をすべて行うため、オーナーは毎月サブリース業者から送られてくる家賃明細を確認するだけでよくなります。
またオーナーは、サブリース業者と賃貸契約を結んでいるため、入居者とのトラブルに巻き込まれることもありません。
入居者の中にはトラブルメーカーがいることもあります。
そんな厄介な入居者がいたとしても、その入居者と契約当事者であるサブリース業者がすべて対応することになります。
オーナーが契約当事者の場合、契約書にオーナーの氏名や住所が載ることで、そういった入居者から嫌がらせを受けるなど、トラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。
その点サブリースでは、業者が間に入っているので、いろんな意味でオーナーは安心して家を貸し出すことができます。
安定収入を得られる(空室・滞納リスクを回避できる)
賃貸経営で最も身近なリスクが空室リスクです。
サブリース契約は空室にかかわらず、サブリース業者が毎月オーナーに決まった賃料を支払ってくれるので、空室リスクを回避することができます。
また賃貸経営では滞納リスクもつきまといますが、催促や回収もサブリース業者がおこなってくれるので面倒が省けます。
空室や滞納がどれだけあっても家賃収入を安定して得られることは、サブリース契約の最大のメリットと言えます。
広告費や原状回復費の負担軽減
賃貸経営では入退去時に多くの費用が発生します。
入居者の入居が決まった際、管理会社(仲介会社)に支払う広告費や、退去後に部屋をキレイにする原状回復費がかかってしまいます。
サブリース契約では、これらの費用もサブリース業者が負担することが多いため、入退去の際に発生する費用を抑えることができます。
このような費用が発生しないということは、オーナーは入退去時にかかる費用などの計上が不要となり、確定申告での収支管理もラクになります。
サブリース契約の問題点とデメリット
これまでサブリース契約のメリットを解説してきましたが、以下のようなデメリットも存在します。
サブリース契約のデメリット
- 収益性が下がる
- 一定期間ごとの賃料見直し
- サブリース契約期間中に解約される
- サブリース契約を解約できない
- 免責期間
- 入居者を選べない
それぞれ解説します。
収益性が下がる
サブリース契約の場合、サブリース業者がオーナーに支払う家賃は、実際の家賃の80~90%が相場となっています。
そのため物件の収益性が、サブリースを行わない場合に比べて低くなります。
つまりサブリースは、空室リスクを背負う代わりに収益性を高めるか、それとも収益性を下げる代わりに空室リスクを避けるかの選択になります。
ここに関しては、人それぞれ考え方が違うのでオーナー自身が決めることであり、どちらが正解ということではありません。
ちなみに賃貸契約の際に、入居者から受け取る礼金などもサブリース業者のものになります。
一定期間ごとの賃料見直し
安定した家賃収入を得ることができるのがサブリースの魅力ですが、同額の家賃保証がずっと続くわけではありません。
ほとんどの場合、保証家賃の見直しが2~5年ごとに行われます。
この見直しによって賃料が下がることが多く、サブリースは主にこのことが原因でトラブルが発生し問題視されています。
ひどい時には、毎月1部屋10万円でサブリース契約をしていたのに、翌年には8万円に減額してほしいという交渉が入ることもあります。
家賃の見直しは、契約書に記載された時期に見直されるものですが、「家賃相場が下落している」「入居状況が悪化した」など、様々な理由で減額を求められることがあります。
参考
ニュースなどでも大きく取り上げられたレオパレス21の集団訴訟問題では、サブリース契約で「当初10年間家賃を不変とする」と契約書に記載されていたにも関わらず、実際には10年未満で減額されるケースが頻発したことが問題となりました。
家賃改定を認めたくない場合は裁判になりますが、裁判は両社にとって望ましいものではありません。
サブリース契約時の賃料見直しは、最もトラブルに発展しやすいので、契約書をしっかり確認したり、見直し方法などについて細かく記載してもらう必要があります。
サブリース契約期間中に解約される
家賃改定と同じくトラブルの原因で多いのが、例えば10年間のサブリース契約を結んでいたにも関わらず、5年後にサブリース業者から一方的に解約の申し入れがあるというケースです。
オーナーからすると突然で無理な要求に思えますが、契約書に規定さえあればサブリースを結んだ業者から解約を申し込むことは可能です。
解約の理由で特に多いのが、サブリース賃料の値下げ交渉が決裂してしまい、サブリース契約自体が解消されてしまうケースです。
可能性は低いですが、サブリース業者が破綻し契約解除になるケースもあります。
参考
大きなニュースとして話題になりましたが、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズは、スルガ銀行からの融資がストップされたため、30年間賃料を保証するはずだったサブリース契約の賃料の支払いを突然停止し破産しました。
このように途中で解約や倒産をされてしまえば、大家は経営転換を余儀なくされ、資金計画にも狂いが出てしまいます。
しかも倒産した場合は、サブリース業者から賃貸契約を引き継いだものの、既存の入居者が誰なのか分からなかったり、入居者が引き続きサブリース業者に賃料の振り込みを行うといったトラブルが生じるケースもあります。
突然解約を申し込まれても慌てなくていいように、できる限り日頃から賃貸の状況などは確認しておきましょう。
サブリース契約を解約できない
サブリース業者とオーナーは、普通借家契約に基づいてサブリース契約を締結します。
この場合の貸主はオーナー、借主がサブリース業者となります。
普通借家契約は、契約期間満了時に借主が契約更新を希望する場合、原則として同条件で契約が更新されることになりますが、貸主は原則としてその更新を拒絶することはできません。
また貸主からの解約は、貸主に正当な事由や立ち退き料などの給付がなければ、原則として行うことができません。
私自身も売買仲介営業マン時代にサブリース物件の売却で、サブリース契約が解約できないために物件価値が下がり、売却に苦労したことがありました。
サブリース契約が解約できないリスクや、売買の際に評価額が下がることも認識しておいてください。
免責期間
サブリース契約では、アパート新築後や入居者の退去後に、免責期間が設けられていることがあります。
この免責期間中は入居付けを行うための期間として、サブリース業者が家賃保証してくれません。
一般的に免責期間は1ヵ月~半年程度で設定されますが、契約内容をしっかり確認するようにしましょう。
入居者を選べない
サブリース契約では、入居付けもサブリース業者が行うため、契約内容によっては入居者を選べないことがあります。
サブリースでない通常の場合は、管理会社や仲介会社が探してきた入居希望者の入居可否を必ずオーナーに確認します。
しかしサブリース契約によりオーナーが選べない場合、高齢者が入居し孤独死が発生したり、外国人が入居して入居者マナーが低下するといった可能性が生じます。
もちろん家賃保証には影響はありませんが、物件の価値を下げてしまうことになりかねません。
しかもサブリースが終了した時には、そういった入居者と付き合っていかなければなりませんので、やはり大きなデメリットになります。
サブリース契約時の注意点
次にサブリース契約時の注意点について解説します。
注意ポイント
- 信頼性
- 保証賃料
- 各種費用がどちらの負担になるか
- 賃料見直しの期間
- 免責期間
- 解約条件
それぞれ解説します。
信頼性
サブリース契約は、サブリース業者と長期間にわたって付き合うことになります。
トラブルが起こる可能性が高い契約なので、サブリース業者が信頼できるかが重要なポイントになります。
ここでいう信頼には、財務面が安定していて倒産の可能性が低いことも含まれます。
信頼できる業者か見極める方法としては、「業者の提出する賃貸シミュレーションは現実的か」「資金力はあるか」「担当の態度がオーナーに寄り添っているか」などを確認してみてください。
ネットで実際にその業者とサブリース契約を行っている人の、口コミや評判を調べるのもおすすめです。
評判が悪い会社との契約は避けましょう。
保証賃料
当然ですが、サブリース契約でどのくらいの賃料が入ってくるのか確認してください。
サブリース契約では、実際の家賃収入の80~90%ほどの家賃保証率が設定されていますが、家賃保証率とその元となる家賃の根拠を、必ず自分でも検証するようにしましょう。
保証率が90%でも、そもそも元の家賃の設定が低ければ損することになります。
今はネットで簡単に調べることができますので、面倒がらずに必ず調べるようにしましょう。
各種費用がどちらの負担になるか
入居者募集の広告費や原状回復費、修繕費などの各種費用をどちらが負担するのかも重要な点です。
例えば広告費や原状回復費は、基本的にサブリース業者が負担することが多いですが、すべてのサブリース契約がそうなっているわけではありません。
修繕に関しては、一般的に簡易な修繕はサブリース業者が行い、経年劣化による修繕はオーナーが行うことが多いようです。
もちろんできるだけ、サブリース業者の方で負担してもらう項目が多い方がいいので、納得いかない部分がある時は交渉してみましょう。
賃料見直しの期間
トラブルになりやすい賃料見直しの時期も確認しておきましょう。
賃料の値下げ率には、限度が決まっていることもあります。
過去の見直し額の実績を確認することで、ある程度賃料の見直し率も把握することができます。
これらを確認することで、数十年後も賃貸経営が黒字になるかシミュレーションしておきましょう。
免責期間
免責期間が設定されている場合、免責期間中は家賃収入を得ることはできません。
免責期間がどのくらいの期間で設定されているのか、確認するようにしてください。
この免責期間については、アパート新築後(またはサブリース契約開始後)と入居者の退去後の主に2つのタイミングがあります。
それぞれサブリース業者が、入居者探しを行うための期間として、免責期間が設けられているわけです。
これも入退去の回数や免責期間によって、どのくらい家賃保証の損失が出るのか計算できます。
事前にシミュレーションしておきましょう。
解約条件
サブリース契約を解除する際の条件についても確認する必要があります。
覚えておきたいのは、サブリース契約は賃貸に関する法律である借地借家法上では、物件を借り上げることになるサブリース業者の方が保護されることです。
そのため物件を売却する場合やサブリース契約が不要になった場合でも、解約できない場合があります。
解除条件に関しても、しっかりと確認しておきましょう。
サブリースの個人的見解
個人的には、サブリース契約はすべきでないと考えています。
理由は以下の通りです。
サブリースをおすすめしない理由
- そもそも家賃保証が必要である物件は買うべきでない
- トラブルになる可能性があるものは極力避けるべき
ちなみに私が知る不動産投資の成功者で、サブリース契約を利用している人は一人もいません。
このことからも、サブリースがオーナーにとって良い選択肢ではないことがわかります。
ただし空室率の高い大規模マンションを保有している場合などは、検討する余地があります。
物件の規模が大きくなるほど手間とリスクが増えますので、そういった時にサブリースを使ってそれらを排除できれば、メリットの方が大きい可能性があるからです。
極端に面倒くさがりな方や、本業が忙しすぎて不動産投資にまったく時間が割けない方も、検討する価値はありそうです。
サブリース契約でトラブルになったら?
サブリース契約に関するトラブルが増えてきたことを受け、行政側も動き始めています。
サブリース契約でトラブルが起きた場合の窓口を記載しますので、必要に応じて利用してください。
おわりに
いかがでしたか?
サブリースは安定した家賃収入が得られる、煩わしい業務を回避できるなどのメリットがありますが、今のところデメリットの方が多いと言えます。
覚えておきたいのは、そもそもサブリース契約を必要とするような物件は購入しないことです。
これにつきます。
決してサブリースが悪いのではなく、中にはサブリースの方が、オーナーにとってメリットが大きい状況もあるかと思います。
その際は契約内容をしっかり確認し、すべてのリスクや可能性を考えたうえで契約するようにしてくださいね!
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